どうもこんにちは。
ネットで都市伝説を見ていたら、気になる話があったので取り上げます。
「ソ連の女性宇宙飛行士が宇宙で大気圏への再突入に失敗し、死の直前に発した無線音声」が残されているという噂です。。
概要
1961年、ソ連の宇宙飛行士ユーリー・ガガーリンが人類初の有人宇宙飛行の成功させました。
アメリカとの宇宙開発競争で一歩先へ進んだソ連は、この直後に女性宇宙飛行士を宇宙へ送り出すことに。
しかし、大気圏への再突入時に何らかのトラブルが発生。
女性宇宙飛行士は無線で助けを求めるも、そのまま燃えゆく宇宙船とともに犠牲となった…。
つまり、女性宇宙飛行士の最期の数分間が記録された音声ということになります。
Youtubeにて、「Lost Cosmonaut」というタイトルで実際の無線記録が残されています。
「聞いて……聞いて! 応答せよ、応答せよ、応答せよ。話して! 話して!」「暑い! え? 45、50。よし、よし。息、息。酸素、酸素。暑い、危険じゃない?」
Newsweek 『60年代、ソ連が闇に葬った宇宙飛行士がいた? いまも残るSOSの音声記録』より引用
「本当に……そう……これは? 何? 応答して! どう発信すれば。そう。何? 発信を開始。41。こうだ。できた。暑い。本当に……暑い。暑い。」
「炎がみえる。炎がみえてる! 暑い。暑い。32。32。41。墜落するの? そう、そう。暑い。暑い! 再突入する。」
この無線記録は、イタリアのアマチュア無線家であるユディカ・コルディーリア兄弟により傍受されたとされています。
果たしてこの噂は本当だったのでしょうか。
信憑性を疑う声が多い
生々しい内容に加え、不明瞭な音声特有の不気味さが感じられる無線記録ですが、いくつかの不可解な点があります。
無線記録のロシア語がおかしい
この無線記録では、女性宇宙飛行士がロシア語で話しています。
ところが、ロシア語を母国語とする人物であれば、まず間違えないであろう初歩的な文法ミスなどが含まれているのです。
(中略) 全ての交信記録に初歩的なロシア語の文章や文法の誤りが含まれており、音声記録にもロシア語のネイティブ・スピーカーでは有り得ない誤りが含まれているとされる。
Wikipedia『ユディカ・コルディーリア兄弟』より引用
また、この無線記録を聴いたYoutube上のロシア語話者からも、色々と情報や考察が寄せられていました。
翻訳・要約した内容ですが、以下の通りです(※カッコ内はコメント主)
- これはソ連東部の訛りである (Greg249氏)
- イタリア語訛りの強い単語がいくつかある。彼女が「мне жарко(暑い)」と言う時も、イタリア語訛りのようだ。この無線記録を傍受したのがイタリア人である以上、信憑性には疑問がある。(pcjudosambo氏)
- この人達(※無線記録を傍受した、イタリア人のユディカ・コルディーリア兄弟)の姉は、ロシア語を少し話せると聞いたことがある。(Richard Hellwell氏)
- イタリア訛りのロシア語ではないと思う。(Byte Surfer氏)
- (死を目前にしているにもかかわらず)声からはパニックが感じられず、叫んでもいない。何より、言葉に論理性がない。(ChinChinim氏)
- イタリア語訛りなので、ロシア人ではない。生粋のロシア人を危険に晒さないようにするため、移民に任務をさせたのではないか。(Crypto Thought氏)
- これはフェイクだ。大気圏に突入した物体は、外側に帯びたプラズマ旋風で電波を遮断するため、地上との通信ができない。また、イタリア語の強い訛りが怪しい。感情の起伏がなく、発している言葉も画一的。とても生きたまま焼かれゆく人間とは思えない。(ScrewDriver1978氏)
これらはYoutube上で個人が書いたコメントではありますが、それぞれ事実であれば、無線記録がフェイクである可能性は十分高いと言えそうです。
ユディカ・コルディーリア兄弟の活動への批判
女性宇宙飛行士の無線通信を傍受した、ユディカ・コルディーリア兄弟。
この2人は、他にも様々な宇宙飛行士の無線通信を傍受してきましたが、実は公式に本物と認定されたものはほとんどありません。
また、音声記録は当時ソ連軍が使用していた通信プロトコル(形式)に則っていないとも指摘されており、信憑性に欠けるという見方が有利になっている状態です。
ちなみに、1963年前後には「ルナ4号(無人月探査機)が撮影した月面の写真をFAXで受信することに成功した」としていましたが、これは新聞に掲載された写真を転用して捏造した、完全なるフェイクであることが判明しています。
まとめ
今回の噂は、無線記録の音声を傍受したとされる人物はハッキリしているものの、その音声の主が本当に女性宇宙飛行士だったのかが謎のまま今に至ります。